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手紙の魅力をお伝えしたくて

私たちは日頃からペン習字を学んでいますがそれは「日常生活に生かしたい。」という思いが1番強いと思います。

その中でも、人とのコミュニケーションの中で、ちょっとしたメッセージを添えたカードや一筆箋、はがきや手紙などが気軽に書けたら…という、憧れの気持ちをどこかに抱いているのではないでしょうか。

携帯電話やSNSの普及により、連絡手段はどんどん簡単になってきています。

そんな中、手紙に魅力を感じる理由は何なのでしょうか。

今は日常生活で人と人が、なかなか会えないという現実が大きくかかわっていると思いますが、手紙には何か特別なものが宿っているように感じてなりません。

今回のブログでは、その《手紙》にスポットをあてて、あるテレビ番組を見たことをきっかけに、私が感じた手紙の魅力、また、その手紙の持つ不思議な力についてお伝えしたいと思います。

誰かを思う気持ちを手紙に込めて

デジタル化が進み、ペーパーレスが進むこの時代に、便箋やはがきを買い求める方が増えているという情報を知りました。
人と人とが会いにくい世の中になり、手紙で思いを伝えることが見直されているようです。
どんな方が、どのような理由で買い求めておられるのか知りたいと思っていたところ、文房具店に訪れる方にインタビューするテレビ番組がありました。
そこには、若い方から、年を重ねた方、また女性だけでなく男性の方まで、さまざまな理由で文房具店に訪れる様子が映し出されていました。
それぞれの方にさまざまな理由があり、素敵なドラマが隠されていました。
その手紙を送る思いに至った方々のエピソードに心を打たれましたので、そのテレビ番組の中から、いくつかをご紹介させていただきます。

彼女にプロポーズするために…

3年間付き合った彼女にプロポーズの気持ちを手紙でも伝えたいという男性は、お二人の歩みの中で「手紙は特別なものだった。」と話されました。
手紙を書き始めたのは、彼女が大病をして、結婚は難しいかもと彼女に言われたことがきっかけだったそうで、彼は入院した彼女に励ましの手紙を送り続けたそうです。
幸い病気を克服し元気になられた彼女と結婚することを決めて、プロポーズのことばは直接伝えて、思いは手紙に託したいのだそうです。
たくさんたくさん、伝えたいことがあるのでしょうね。
とても深い愛と絆に感動しました。
たまに、彼女が入院中に送られてきた彼からの手紙を読み返しては、ニヤニヤしていることがあるそうで「恥ずかしい」と、照れくさそうに話されていました。
彼女の心を変えた手紙は、これからも、お2人にとって大切な宝物になることでしょう。

子供たちに思いを伝えたくて…

単身赴任が多かったという男性は、ご家族に会えないことが多く、親として伝えたいことを伝えていない気がして、子供や孫の誕生日には、欠かさず手紙を送っていたそうです。
今まで、誰からも返事がなかったようですが、今年、お孫さんの一人から、「手紙をいつもありがとう。」と電話があったそうです。
そして、いつも、「何が書いてあるのだろう」と楽しみにしていたことも話してくれたそうで、涙ぐんでおられました。
これからも、手紙を書き続けて、伝えられることを伝えていきたいと話され、最後に「この手紙は私の遺言です」と言われていました。
たくさんの愛情あふれるメッセージが、ご家族の心に残っていかれるのでしょうね。




妻へ感謝の気持ちを伝えたくて

結婚記念日に奥様にカードを送りたいという男性は、この一年、支えてくれた奥様に感謝の気持ちを伝えたいのだと言われます。
まだ結婚して一年ですが、お2人が務めておられた会社が倒産したため、奥様が先に再就職をして働いて支えてくれているのだそうです。
ゆっくりと話される優しい印象の中に、これから頑張っていくんだという強い思いを感じました。
「こういうことは初めてで…」と悩みながら、たくさんのカードの中から、シンプルなデザインのカードを選んでおられました。
お互いがお互いを思いやる素敵なお2人は、たくさんの「ありがとう」を積み重ねていかれるのでしょうね。
嬉しそうにカードを開かれ、微笑んでおられるような、そんな奥様のお姿が目に浮かぶようでした。


手紙の持つ力

テレビ画面のエピソードの中から、誰かを思って書く手紙には、人に勇気を与えたり、元気にする力があると思いました。
電話や、直接言われる励ましの言葉も元気を与えてくれますが、やはり、直筆で書かれた言葉には何か特別なものを感じます。
次にご紹介するのは、その言葉に勇気と元気をもらった方のお話をご紹介させていただきます。

祖母からの手紙はお守りのように…

91歳の祖母から来た手紙に返事を書くため、絵はがきを選んでおられた看護師の女性は、祖母からの手紙をいつもお守りのように、そばに置いているのだそうです。
たくさんの趣味を持ち、行動的な祖母のことが「今でも私の理想です。」と話される女性は、子どもの頃から自信を持ちにくい性格だったそうです。
そんな彼女に祖母はいつも「あなたは心が優しいから大丈夫だよ」と言って励まし、どんな時も自分の味方でいてくれたのだそうです。
「看護師になりたい。」と話した時も、「あなたは心が優しいから、看護師の仕事はあっているよ。大丈夫。」と言って励ましてくれたそうです。
東京で仕事をするようになってからも、手紙のやり取りをされていて、その「大丈夫」の言葉にいつも支えられていると言います。
手紙には相手に気持ちを伝えたり、人を温かい気持ちにさせるだけでなく、相手の心を支えたり、慰めたり、励ましたり…と、人の心を前向きにさせるエンジンのような不思議な力があるのだと感じました。

まとめ

これまでにご紹介させていただいたように手紙を書く理由はさまざまで、そこには、とても人間的で、心温まるドラマが隠されていましたね。
手紙をしたためてみたい、という思いになられたでしょうか。
手紙をしたためるには、まず、便箋や封筒を選ぶことから始まります。
季節や相手との関係性や、相手の好みなどを考えて合うものを選ぶ時間も楽しいものです。
また、相手を目の前にしては照れくさくて言えないような言葉でも、手紙では書けてしまうのもまた、手紙に宿る何かのせいかもしれませんね。
手紙は、もうそれだけで贈り物なのだと、いろいろなエピソードを聞いて、そう感じます。
どんな時代になっても、手で書く文字の温もりは、誰もが求めているものだと信じています。
そして言葉は人の心に響き、勇気や元気を与えてくれます。その二つのことが含まれているのが、「手紙」なのだと思うのです。
でも、いきなり手紙を…と思うと、ちょっと戸惑いもあるかもしれません。
まずは、簡単なハガキから、身近な方に書いてみてはいかがでしょうか。
私も暑中見舞いを、しばらく会えていない親友に書いてみようかなと思っています。
当会の私たちは、日常生活で役に立つ美しい文字を求めて、日々学習していますが、文字の美しさだけでなく、美しい心を込めて、これからも、文字にかかわっていきたいと思います。